Japanische Klassiker mit Furigana
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さんがくじょうど
山岳浄土
中村 清太郎
Lesen Sie 山岳浄土 (さんがくじょうど) von 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.724 Zeichen · 10 Bildschirme
(貂)だという。
かくしてようやく花咲武尊の頂上小祠のほとりにたどりついて、奥上州裏日光の連山の雲母をちらしたような深雪薄雪の光を浴びたものの、間近くそびえるピラミッド型の大きな絶頂や藤原武尊の峰つづきなどは思いきらねばならなかった。ちからなくくだる谷間に枯木が紅珊瑚のように燃えたち、近い尾根の一角が紅梅色にさかえて、つめたい薄もやたった谷のすえには日光つづきの山波のひときわうちあがった一峰がさむざむと暮れのこる。猟師はそれをスケーとおしえてくれた(のちにしる皇海山)。この辺にはもとおおかみが多かったが明治七年とか八年とか大洪水があった以後、巣をうばわれたか、いなくなったともきいた。帰りに穴原温泉ただ一軒の宿のただひとりの客となり、川原の自然石の湯に、たまたまくる村人とともに浴した。おりから旧正月をむかえ亭主が羽織袴で三宝に酒盃をもちだし、絶大な円餅をいくつかやまなりに重ねたぞうにをしきりにすすめられて、うれしいながら、すくなからずたじろいだのをおぼえている。
温泉といえば、あの梅ガ島を思いだす。みかんと茶をかおらす安倍川をさかのぼって、大日峠にまず南天の雪山の片鱗をあおぎ、大井川奥小河内の山村から枯笹をわけて大崩山三尺峠に登って、ためつすがめつ峰の白影においすがり、雪どけ羊歯の根土にすべってこの温泉に