Japanische Klassiker mit Furigana
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ぎゅうじん
山月記・李陵 他九篇
Lesen Sie 山月記・李陵 他九篇 (ぎゅうじん) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.608 Zeichen · 84 Bildschirme
その薄暗い奥から、十歳ばかりの痩せた女の子が、時々独木舟の向う側まで出て来ては、口をポカンとあけて此方を覗く。この家の者は皆きちんとした服装をしているのに、この子だけはほとんど裸体である。色が気味悪く白く、絶えず舌を出して赤ん坊の様にベロベロ音を立て、涎を垂れ、意味も無く手を振り足を摺る。白痴なのであろう。奥から、女王然たる老婆が喫煙を止めて、何か叱る。烈しい調子である。手に何か白いきれを持ち、それを振って白痴の子を呼んでいる。女の子が側へ戻って行くと、怖い顔をしながら、それをはかせた。パンツだったのである。「あの児、病気か?」と私がまた若い女に聞く。頭ガワルイという返辞である。「生れた時からか?」「イイヤ、生レタトキハ良カッタ。」
大変愛想のいい女で、私がバナナを喰べ終ると、犬を喰わぬかと言う。「犬?」と聞き返す。「犬」と、女はその辺に遊んでいる・痩せた・毛の抜けかかった・茶色の小犬を指す。一時間もかかれば出来るから、あれを石焼にして馳走しようというのだ。一匹まるのまま、芭蕉の葉か何かに包み、熱い石と砂の中に埋めて蒸焼にするのである。腸だけ抜いた犬が、そのまま、足を突張らせ歯をむき出して膳の上に上されるのだという。