Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やまつばき

山椿

山本 周五郎

Lesen Sie 山椿 (やまつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.911 Zeichen · 32 Bildschirme

Aozora Bunko

「雷獣って割りかた引っ掻くんですってね」

勿論まじめな顔である、わっとみんな笑いだした。脇田信造などは笑いが止らないで、苦しがって涙をこぼしながら転げた。少し鎮まりかかると側で、「へえ――雷獣は割りかた引っ掻きますかねえ」と云う、それでまた脇田は転げまわる。しまいに仰反になって、どうやらこうやら笑い止んだとたん、みちが例の証明を出した。

「あら、だってそう云いましてよ」

脇田はひーいと両手で耳を塞ぎ、なにか訳のわからないことを叫びながら、驀地に廊下へとびだしていった。

主馬はこういう情景を眺めるだけでなく、今はそれを味わうこともできるようになった。以前の彼には苦にがしいだけだった。馬鹿げた、騒々しいものに過ぎなかった。合理的なこと、計算し統計に取れるもの以外は興味がもてなかった、――けれども今はもう違う、彼はどうやら憩いの味を知った、疲れた躯を休め、仕事でいっぱいになった神経を、理屈なしに柔らかくほぐして呉れるもの、慰安と休息がどんなものかということを、ようやく彼は知り始めたのである。

明くる正月の年賀の登城で、納戸奉行の栗原和助と一緒になった、そのとき栗原は警戒の身ぶりをしながら云った。