Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やまつばき

山椿

山本 周五郎

Lesen Sie 山椿 (やまつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.911 Zeichen · 32 Bildschirme

Aozora Bunko

二

……湯に浸って、躯が温たまってくると、宵からの緊張がほぐれ、神経や全身の筋のこころよくのびてゆくのが感じられて、解放された者のようになんども溜息が出た。――彼は悠くり浸っていた、五十日以来の煩わしさが終った、これでともかくもひと片ついたと思うあとから、一種のあやされるような、好ましい、新鮮な感情がわいてきた。彼は眼をつむった。

二

心ときめくというほど純粋な激しい感動ではない、もう年も二十八になるし、作事奉行としてあしかけ四年、宴席の遊びも知っている。ましてごく平凡な作法どおりの結婚だから、それほど大きな歓びの期待がある訳はない。だが今かれの胸へわきあがってくる素朴な好ましい感情も、決してそれより価値が低くはないだろう、――彼はなごやかに遠火で温ためられるような、その楽しい恵まれた気分から離れるのが惜しくて、ながいことじっと湯に浸っていた。

主馬が寝間へはいってゆくと、花嫁はまだ起きていた。暗くしてある行燈の柔らかい光りで、金屏にかこまれた夜具の色が、浄らかな嬌めかしさをみせている。きぬは白無垢の上に打掛を重ね、両手を膝に置き、ふかく俯向いたまま坐っていた。