Japanische Klassiker mit Furigana
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やぎひげへんしゅうちょう
山羊髯編輯長
夢野 久作
Lesen Sie 山羊髯編輯長 (やぎひげへんしゅうちょう) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.441 Zeichen · 102 Bildschirme
「お早よう御座います。お風呂が湧いております」
と云い云い妙にニコニコ笑っているのが気になった。
「連(つ)れの人はどうしたい」
「ハイ。今朝(けさ)早く、お出ましに……お立ちになりました」
と云い紛らしながら、うつむいた。
可笑(おか)しくて堪まらないのをジッと我慢している恰好である。いよいよ気になった。
尤(もっと)も笑われるのも無理はないと云えば云える。日本一の間抜け面(づら)に違いなかったんだから……。
「今何時頃なんだい」
「ハイ……五時過で御座います」
「何……五時過……いつの……」
「ヘヘヘ……今日の……」
「きょうは何日だい」
「二十一日……」
「ハイ……只今出ました夕刊で御座います」
と夜卓子(ナイトテーブル)の上に置くや否や、支配人は最早(もう)一刻もたまらないという風に、お辞儀をしてコソコソと出て行った。吾輩は博多湾内の光景を今一度見まわした。成る程夕方に違いない。曇っているもんだから、夕景色が朝景色に見えたんだ。
何ともいえない不安な気持に包まれた吾輩は、取る手遅しと玄洋日報の夕刊を引き開くと、下らない海外電報が、薄汚ない活字で行列している。