Japanische Klassiker mit Furigana
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やぎひげへんしゅうちょう
山羊髯編輯長
夢野 久作
Lesen Sie 山羊髯編輯長 (やぎひげへんしゅうちょう) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.441 Zeichen · 102 Bildschirme
「僕は絶対に迷宮事件だと思うね。犯行の目的がわからないし、盗まれた品物も無い。女房は評判の堅造(かたぞう)で病身、本人も評判の仏性で、嚊(かかあ)孝行の耄碌爺(もうろくおやじ)となれあ、疑いをかけるところはどこにも無いだろう。要するにこれは何でもない突発事件だと思うね」
「ヘエ。突発事件……と……申しますと……」
「つまりこの犯人は、いい加減な通りがかりの奴で、最初から被害者を殺す量見なんか毛頭無かったんだ。仏惣兵衛の老爺(おやじ)がどこかに現金を溜め込んでいる位の事を、人の噂か何かで知っている程度の奴が、何の気も無く這入って来て、下駄を誂(あつら)えながらそこいらを見まわしているうちに、フイッと殺す気になったんじゃないかと思うんだがね。これで殴ってくれといわんばかりに鉄鎚(かなづち)を眼の前に投出して、電燈の下に赤いマン丸い頭をニュッと突出したもんだから、ツイフラフラッとその鉄鎚を引掴んで……」
「……………」
耳の附根の処をゾキゾキやっていた剃刀の音がモウ一度ソッと離れ退(の)いた。同時に吾輩のお尻から両股(もも)にかけてゾーッと粟立って来た。見ると若い親方は、眼を真白くなる程瞠(みは)って、鏡の中の吾輩の顔を凝視している。