Japanische Klassiker mit Furigana
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やぎひげへんしゅうちょう
山羊髯編輯長
夢野 久作
Lesen Sie 山羊髯編輯長 (やぎひげへんしゅうちょう) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.441 Zeichen · 102 Bildschirme
なぞ、なかなか面白いが、今朝(けさ)も何か、そんなニュースが這入(はい)ったらしい。吾輩は頭のフケを狂人(きちがい)のように掻きまわしながら起上った。
「何ですか。お神(かみ)さん。又事件ですかい」
女将(かみさん)は返事をする準備として、とりあえず取って付けたように魘(おび)えた顔をした。この辺には珍らしく眉を剃って鉄漿(おはぐろ)をつけているからトテモ珍妙だ。
「ヘエ。アナタ。向家(むかい)の煙草屋の二階だす。あの二階に下宿して御座った別嬪(べっぴん)さんなあ!」
「ウン。知ってるよ。二十二三の……」
「ヘエ。アナタ。あの人がカルモチンとかで自殺して御座るちうてアナタ……今朝……」
話の終らないうちに吾輩は猿股一つになって立上った。顔も何も洗わないまま洋服に手足を突込んでしまった。スウェターに首を突込んで、靴下を穿いて、帽子を引っ掴むと、梯子段の途中に引っかかっている女将の巨体を飛び越すようにして上(あが)り框(かまち)から半靴を突かけると表の往来……千代町(ちよまち)の電車通りに飛出した。
「まあ。早さなあ。消防のごたる」
と女将が感心している間(ま)に、モウ五六人、人だかりのしている向家の煙草屋に駈込んだ。