Japanische Klassiker mit Furigana
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さんけいにいくるひとびと
山谿に生くる人々
葉山 嘉樹
Lesen Sie 山谿に生くる人々 (さんけいにいくるひとびと) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.699 Zeichen · 67 Bildschirme
だから釣糸に一升徳利の底を割ったのを通しとくんだって、鯉がかかったら、スーッと釣り上げるでしょう。すると鯉は一升徳利の中へぶるぶるっと引きずり込まれちゃって、バタバタも、パチパチもやれないんですって。それと同じだわ」
「ふん。そいつあいい方法だね。天龍川で釣るよか、養魚池へ行って、その手をやるかな」
「馬鹿ね。あんたは。その釣られた鯉と同じだと言ってんのよ。あんただけなら、そりゃいいかもしれないけど、子供たちが可愛想じゃないの。タアちゃんだっても、東京の方がいいなあ、なんかって言ってるのよ」
「そりゃ、俺だって、どこかで、楽な生活ができれば遠慮しやしないよ。楽に暮さしてやるって言えば、エチオピアにだって、連れてってやるよ」
「楽な暮しなんかしたいとは思いはしないけれど、安心したいわ」
「誰だって安心に暮したいさ。だが、今、安心に暮してる人間が一人だってあるだろうか。今の時代に、安心して暮してるのは、幸福な白痴と赤ん坊とだけだ。安心して暮すどころではないんだ。どんなに苦しんでも、『暮せない』人間が、どぶの中のゴカイみたいに、押し重なって、ウヨウヨしてるんだ。