Japanische Klassiker mit Furigana
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さんけいにいくるひとびと
山谿に生くる人々
葉山 嘉樹
Lesen Sie 山谿に生くる人々 (さんけいにいくるひとびと) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.699 Zeichen · 67 Bildschirme
が、過去という大風呂敷は、瘤みたいに同じ皮膚の下に背負い込んでいる。おまけに、この過去の大風呂敷は、時々針の尖を出して、背中を突っつくのである。
――もうたくさんだ――
と、大山は、仰向けになったまま、両手を首の下に入れた。
――考えたり、思ったり、感じたりすることが、そもそも不必要な事なんだ。見ろ、ここは日本中で、一番昆虫の多いところだ、と言われている。昆虫は考えたり、思索したりしはしない。だが、感じはするだろうなあ。じゃあよし、お前も感じっぱなしにしろ! 「痛いな」「ああ草臥れた」「ああ飲みたい」「眠いな」と感じたら、それっ切りで、打ち切ってしまえ。後を考えるな。くよくよするな。ぼうっとしてしまえ。――
そんな風に、ぼうっとしてしまえ、という風に考えていると、考えというものは、いけないものである。後を引くのである。
大山は考え続けた。
――ふん。俺は過去の大風呂敷を背負っている。が、この過去の大風呂敷は、位牌まで入ってるんだぞ。位牌は、こいつは風呂敷の中にではなく、血の中に流れてるんだな。骨の中にもある。してみると、俺は先祖代々の位牌と一緒に、俺だけの大風呂敷を背負って、すっかりあべこべに引っくりかえった、ここへ来て、生活のドン底に滓酒のように、溜り込んでいるんだな。