Japanische Klassiker mit Furigana
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さんけいにいくるひとびと
山谿に生くる人々
葉山 嘉樹
Lesen Sie 山谿に生くる人々 (さんけいにいくるひとびと) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.699 Zeichen · 67 Bildschirme
「これほど大きく来ようとは思わなかったね。だけどおそろしいものだね。こんなに鬱蒼たる森林に蔽われ、永劫に揺ぎなく思われる大地の中の、しかも、岩盤の中にこんな理があるんだものなあ。おそろしいものだなあ」
と、大山は静かに、小林に言い続けた。
「来るはずだねえ。たとい、僕等が、ここをまるっきり手をふれないでいても、何百年か、何千年の後には、きっとこの理から離れてしまうんだろうね。見給え、上の方から五間位までは、根っこが入っている。まるで荷物を縛る紐みたいに薄べったくなってね、変化は徐々にだが、根強く行われているんだね」
「絶えず変ってるんだろうが、こんな風に山が来るってな風でないと、俺達にゃ分らないんだろうか。こんな風に地響がして、どかっと来ると、誰にだって分るだろうからな。緑屋のおかみ、憤ってやしなかったかい。山なんか落っことしやがってって」
と、小林が言った。
「いや、極めて静かだったね。気の毒な位だったよ。部分的な震災みたいなもんだからね」
「そうかい、それは助かった。俺はまた、今度こそはボロ糞に言われなければならない、と覚悟をしていたんだ、ハッパでボロ糞なんだから、今度は胸倉位とっつかまれて、腕に噛みつかれるだろう、思ってたんだが」