Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しまのくれがたのはなし

島の暮れ方の話

小川 未明

Lesen Sie 島の暮れ方の話 (しまのくれがたのはなし) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 2.109 Zeichen · 5 Bildschirme

Aozora Bunko

南方の暖かな島でありました。そこには冬といっても、名ばかりで、いつも花が咲き乱れていました。

ある早春の、黄昏のことでありました。一人の旅人は、道を急いでいました。このあたりは、はじめてとみえて、右を見たり、左を見たりして、自分のゆく村を探していたのであります。

この旅人は、ここにくるまでには、長い道を歩きました。また、船にも乗らなければなりませんでした。遠い国から、この島に住んでいる、親戚のものをたずねてきたのであります。

旅人は、道ばたに水仙の花が夢のように咲いているのを見ました。また、山に真っ赤なつばきの花が咲いているのを見ました。そして、そのあたりは野原や、丘であって、人家というものを見ませんでした。暖かな風は、海の方から吹いてきました。その風には、花の香りが含んでいました。そして、日はだんだんと西の山の端に沈みかけていたのであります。

「もう日が暮れかかるが、どう道をいったら、自分のゆこうとする村に着くだろう。」と、旅人は立ち止まって思案しました。

どうか、このあたりに、聞くような家が、ないかと、また、しばらく、右を見たり、左を見たりして歩いてゆきました。