Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しまばらしんじゅう
島原心中
菊池 寛
Lesen Sie 島原心中 (しまばらしんじゅう) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.293 Zeichen · 29 Bildschirme
『誰かから、金の工面をしてもろうたわけだな』
『へえい! 友達から二十円ばかり借りました』
『そのほかにないか』
『親から十円借りました』
『うむ。合して三十円だな。そのくらいの借金なら、払えないという借金じゃないな』
『へえい』
『一体、どうしてこんなことをやった』
若者は、しばらく考え込んでいたようでしたが、急に咳き込んで来たかと思うと、泡のような血を口から吐き出しました。気管の傷のために、血が口の中に洩れるのです。
僕は、自分の尋問が、この青年の容体を険悪にしはしないかと思ったので、警察医にききますと、彼は平気な顔をして、
『何! 大丈夫です。どんなことをしたって、命に別条はありません。御心配なくお続け下さい』といいました。
僕は、それに安心して改めて若者にいいました。
『そら、そんな風に考えたら駄目だよ。あっさりいうのだよ、あっさり』
若者は、唇の周囲についた血を鼻紙で拭きながら、
『私は、今年は兵にかかっとりますので、入営するまでには金でも溜めて、両親も欣ばせようと思っていましたのに、こんなことで金は溜りませんし、借金はできるし、それにあの女も可哀そうな女で、国へ一度母親の見舞いに帰りたい帰りたいいうておりましたけれど、帰れんような始末で、いっそ死んでしもうたらという、相談になりましたんで』