Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しまばらしんじゅう

島原心中

菊池 寛

Lesen Sie 島原心中 (しまばらしんじゅう) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.293 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

二人が遺書を認めていることで、無理心中の疑いは少しもありませんでしたが、自殺幇助の疑いは、十分にあるのでした。

僕は、その男を臨床尋問するために、寝かされているという別室へ行ったのです。見ると相手の男は、頭を角刈にした、二十歳前後の、顔の四角な職人らしい男でしたが、喉の傷をくるくる巻いた繃帯が、顎を埋めてしまうほど、ふくらんでいました。顔には血の気がなく、どろんと気の抜けたような目付をしていましたが、傷が致命傷でないことは、医師でない素人目にも、すぐ分かりました。

僕は、尋問にかかる前に、警察の方で調べた二人の身元とか、心中に至るまでの事情を、一通りきいたのです。男の方は、福島県の者とかで、西陣の職工だが、徴兵にとられていて、十二月には入営することになっていたということと、女は鳥取県のものであるが、今年二十九の年になるまで、十年近く島原で、勤めているのだが、借金に追われて、まだ年季が明けないでいること、平生から陰気な沈んだ女であること、この頃郷里の方から、母が病気だという知らせが来たので、見舞いに行きたい行きたいと、口癖にいっていながら、勤めの身として、それが果し得ないのを、口惜しがっていたこと。