Japanische Klassiker mit Furigana
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くずれるおにかげ
崩れる鬼影
海野 十三
Lesen Sie 崩れる鬼影 (くずれるおにかげ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.100 Zeichen · 69 Bildschirme
それは怪人の足が地上についていないということです。地上に足がつかないでいて、どうしてあのような力が出せるのでしょう。これは一向腑に落ちません。
「もしや……」
とそのとき気のついた私は、探照灯の光の下に、尚も怪人の身体を仔細に注意して見ました。
「おお、思ったとおりだッ」
私は思わず大きい声を立てました。怪人の身体は機関車にピタリと密着していないのです。怪人の身体と機関車との間には、三十センチほどの間隙があきらかに認められました。前に兄が谷村博士邸で、天井に逆にぶら下っていたとき、私は下から洋書を投げつけたことがあります。あのとき、どうしたものか、投げた洋書は兄の身体に当らずして、いつも三十センチほど手前でパッと跳ねかえるのでした。何か兄の身体の上に三十センチほどの厚さのものが蔽っている――としか考えられない有様でした。あとから兄に聞いたところによれば、あのとき兄は化物に胴中をギュッと締められているように感じたという話でした。
では、この場合、あの機関車を後へ押しているのは、あの怪人だけではなく、あの怪人に纏いついている化物の仕業ではありますまいか。