Japanische Klassiker mit Furigana
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あるおんなのしょうがい
嵐・ある女の生涯
島崎 藤村
Lesen Sie 嵐・ある女の生涯 (あるおんなのしょうがい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.846 Zeichen · 96 Bildschirme
直次は笑い出した。
「大袈裟な真似をするない。あいつは俺の方へ飛んで来ないでお母さんの方へ飛んで行った」
とおさだを叱るように言って、復た直次は隣近所にまで響けるような高い声で笑った。
夕方に、熊吉が用達から帰って来るまで、おげんは心の昂奮を沈めようとして、縁先から空の見える柱のところへ行って立ったり、庭の隅にある暗い山茶花の下を歩いて見たりした。年老いた身の寄せ場所もないような冷たく傷ましい心持が、親戚の厄介物として見られような悲しみに混って、制えても制えても彼女の胸の中に湧き上り湧き上りした。熊吉が来て、姉弟三人一緒に燈火の映る食卓を囲んだ時になっても、おげんの昂奮はまだ続いていた。
「今日は女同士の芝居があってね、お前の留守に大分面白かったよ」
と直次は姉を前に置いて、熊吉にその日の出来事を話して無造作に笑った。そこへおさだは台所の方から手料理の皿に盛ったのを運んで来た。
おげんはおさだに、
「なあし、おさださん――喧嘩でも何でもないで。おさださんとはもうこの通り仲直りしたで」
「ええええ、何でもありませんよ」
とおさだの方でも事もなげに笑って、盆の上の皿を食卓へと移した。