Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

あるおんなのしょうがい

嵐・ある女の生涯

島崎 藤村

Lesen Sie 嵐・ある女の生涯 (あるおんなのしょうがい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.846 Zeichen · 96 Bildschirme

Aozora Bunko

「お母さん、そうしますか」

料理場から食堂への通い口に設けてある帳場のところに立って、お三輪は新七とこんな言葉をかわした。帳場のテエブルの上には、前の晩に客へ出したらしい料理の献立なぞも載せてある。雅致のある支那風な桃色の用箋にそれが認めてある。そんな親切なやりかたがこの池の茶屋へ客の足を向けさせるらしい。お三輪はそこにも広瀬さんや新七の心の働いていることを思った。

「浦和へはあの従妹に送って貰いましょう。お前さんもいそがしそうだから、あたしはもうお暇する」

「お力」

お三輪は料理場の外へお力を呼んで、帯の間から紙の包を取出した。

「これはすこしばかりだが、料理方の人達に分けておくれ。あのお給仕に出る娘さんにもあげておくれ」

と言って、お三輪は自分の小遣のうちを手土産がわりに置いて行こうとした。彼女はいくらも小遣を持っていなかったが、そういう時になると多勢奉公人を使ったことのある、気の大きな小竹の隠居に返った。

「御隠居さん、そんなことをなすって下すっちゃ私が困りますよ。そんな御心配はいらないんですよ。みんな内輪のものばかりですから」

とお力の方では言ったが、それを納めて貰わないことにはお三輪の気が済まなかった。