Japanische Klassiker mit Furigana
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あらし
嵐
島崎 藤村
Lesen Sie 嵐 (あらし) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.007 Zeichen · 108 Bildschirme
」
と、そこの銀行員が尋ねるので、私は例の小切手を現金に換えてもらうことにした。私が支払い口の窓のところで受け取った紙幣は、風呂敷包みにして、次郎と二人でそれを分けて提げた。
「こうして見ると、ずいぶん重いね。」
待たせて置いた自動車に移ってから、次郎はそれを妹に言った。
「どれ。」
と、妹も手を出して見せた。
私たちの乗る車はさらに日本橋手前の方角を取って、繁華な町の中を走って行った。私は風呂敷包みを解いて、はじめて手にするほどの紙幣の束の中から、あの太郎あてに送金する分だけを別にしようとした。不慣れな私には、五千円の札を車の上で数えるだけでもちょっと容易でない。その私を見ると、次郎も末子も笑った。やがて次郎は何か思いついたように、やや中腰の姿勢をして、車のゆききや人通りの激しい外の町からこの私をおおい隠すようにした。
私たちはある町を通り過ぎようとした。祭礼かと見まごうばかりにぎやかに飾り立てたある書店の前の広告塔が目につく。私は次郎や末子にそれを指して見せた。
「御覧、競争が始まってるんだよ。」
紅い旗、紅い暖簾は、車の窓のガラスに映ったり消えたりした。