Japanische Klassiker mit Furigana
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あらし
嵐
島崎 藤村
Lesen Sie 嵐 (あらし) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.007 Zeichen · 108 Bildschirme
実は私は次郎の将来を考えたあげく、太郎に勧めたとは別の意味で郷里に帰ることを次郎にも勧めたいと思いついたからで。長いこと養って来た小鳥の巣から順に一羽ずつ放してやってもいいような、そういう日がすでに来ているようにも思えた。しかし私も、それを言い出してみるまでは落ちつかなかった。
ちょうど、三郎は研究所へ、末子は学校へ、二人とも出かけて行ってまだ帰らなかった時だった。次郎はもはや毎日の研究所通いでもあるまいというふうで、しばらく家にこもっていて描き上げた一枚の油絵を手にしながら、それを私に見せに二階から降りて来た。いつでも次郎が私のところへ習作を持って来て見せるのは弟のいない時で、三郎がまた見せに来るのは兄のいない時だった。
「どうも光っていけない。」
と言いながら、その時次郎は私の四畳半の壁のそばにたてかけた画を本棚の前に置き替えて見せた。兄の描いた妹の半身像だ。
「へえ、末ちゃんだね。」
と、私も言って、しばらく次郎と二人してその習作に見入っていた。
「あの三ちゃんが見たら、なんと言うだろう。」
その考えが苦しく私の胸へ来た。二人の兄弟の子供が決して互いの画を見せ合わないことを私はもうちゃんとよく知っていた。