Japanische Klassiker mit Furigana
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あらし
嵐
島崎 藤村
Lesen Sie 嵐 (あらし) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.007 Zeichen · 108 Bildschirme
そこまで行くと次郎たちの留守居する東京のほうの空も遠かった。
「ようやく来た。」
と、私はそれを太郎にも末子にも言ってみせた。
年とった嫂だけは山駕籠、その他のものは皆徒歩で、それから一里ばかりある静かな山路を登った。路傍に咲く山つつじでも、菫でも、都会育ちの末子を楽しませた。登れば登るほど青く澄んだ山の空気が私たちの身に感じられて来た。旧い街道の跡が一筋目につくところまで進んで行くと、そこはもう私の郷里の入り口だ。途中で私は森さんという人の出迎えに来てくれるのにあった。森さんは太郎より七八歳ほども年長な友だちで、太郎が四年の農事見習いから新築の家の工事まで、ほとんどいっさいの世話をしてくれたのもこの人だ。
郷里に帰るものの習いで、私は村の人たちや子供たちの物見高い目を避けたかった。今だに古い駅路のなごりを見せているような坂の上のほうからは、片側に続く家々の前に添うて、細い水の流れが走って来ている。勝手を知った私はある抜け道を取って、ちょうどその村の裏側へ出た。太郎は私のすぐあとから、すこしおくれて姪や末子もついて来た。私は太郎の耕しに行く畠がどっちの方角に当たるかを尋ねることすら楽しみに思いながら歩いた。