Japanische Klassiker mit Furigana
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あらし
嵐
島崎 藤村
Lesen Sie 嵐 (あらし) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.007 Zeichen · 108 Bildschirme
私の行く先にあるものは幼い日の記憶をよび起こすようなものばかりだ。暗い竹藪のかげの細道について、左手に小高い石垣の下へ出ると、新しい二階建ての家のがっしりとした側面が私の目に映った。新しい壁も光って見えた。思わず私は太郎を顧みて、
「太郎さん、お前の家かい。」
「これが僕の家サ。」
やがて私はその石垣を曲がって、太郎自身の筆で屋号を書いた農家風の入り口の押し戸の前に行って立った。
四方木屋。
太郎には私は自身に作れるだけの田と、畑と、薪材を取りに行くために要るだけの林と、それに家とをあてがった。自作農として出発させたい考えで、余分なものはいっさいあてがわない方針を執った。
都会の借家ずまいに慣れた目で、この太郎の家を見ると、新規に造った炉ばたからしてめずらしく、表から裏口へ通り抜けられる農家風の土間もめずらしかった。奥もかなり広くて、青山の親戚を泊めるには充分であったが、おとなから子供まで入れて五人もの客が一時にそこへ着いた時は、いかにもまだ新世帯らしい思いをさせた。
「きのうまで左官屋さんがはいっていた。庭なぞはまだちっとも手がつけてない。」
と、太郎は私に言ってみせた。