Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あらし

嵐

島崎 藤村

Lesen Sie 嵐 (あらし) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.007 Zeichen · 108 Bildschirme

Aozora Bunko

」

と、私に言ってみせるのは、肥って丈夫そうなお霜婆さんだ。私の郷里では、このお霜婆さんの話すように、女でも「おら」だ。

「どうだなし、こんないい家ができたら、お前さまもうれしからず。」

と、今度はお菊婆さんが言い出した。無口なお霜婆さんに比べると、この人はよく話した。

「今度帰って見て、私も安心しました。」と、私は言った。「私はあの太郎さんを旦那衆にするつもりはありません。要るだけの道具はあてがう、あとは自分で働け――そのつもりです。」

「えゝ、太郎さんもその気だで。」と、お菊婆さんは炉の火のほうに気をくばりながら言った。「この焚木でもなんでも、みんな自分で山から背負っておいでるぞなし。そりゃ、お前さま、ここの家を建てるだけでも、どのくらいよく働いたかしれずか。」

炉ばたでの話は尽きなかった。

三日目には私は嫂のために旧いなじみの人を四方木屋の二階に集めて、森さんのお母さんやお菊婆さんの手料理で、みんなと一緒に久しぶりの酒でもくみかわしたいと思った。三年前に兄を見送ってからの嫂は、にわかに老けて見える人であった。おそらくこれが嫂に取っての郷里の見納めであろうとも思われたからで。