Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いちろうのみせ

市郎の店

豊島 与志雄

Lesen Sie 市郎の店 (いちろうのみせ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.067 Zeichen · 9 Bildschirme

Aozora Bunko

市郎は額をたたいて、得意になりました。もう一人前の大人になった気がしました。そして土曜日の晩と日曜日の晩、夜店のかたはしに多くの貝殻を並べて、そこにがんばっていました。

その貝殻というのは、船乗りをしているおじさんからもらったものでした。市郎は小さい時から、外を遊びあるくのがすきで、メンコやベーゴマの遊びなどにふけって、お母さんにたびたび小言をいわれました。それから、船乗りをしているおじさんの話をきき、珊瑚礁のことや貝殻ばかりの浜辺のことなどをきいてからは、メンコやベーゴマよりも、いろいろな貝殻を集めるのが面白くなりました。おじさんは南洋方面へ行く貨物船に乗りこんでいましたので、市郎に頼まれるとさまざまの貝殻を持ってきてくれました。

平たいのや円いのや尖ったのや、大きいのや小さいのや、白いのや赤いのや、青いのや緑のや、いろんな模様のはいってるのや、実にさまざまなものでした。

市郎はそれらを眺めて、世界各地の海のことを想像するのでした。

その貝殻が、もし売れてしまっても、代りの貝殻はまだたくさん、おじさんに頼んであるのです。

土曜日の晩と日曜日の晩、市郎は、店を預っているおばさんの横に、小さな腰掛に坐って、本を読むふうをしながら、貝殻を買うお客を待ちました。