Japanische Klassiker mit Furigana
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ききょらい
帰去来
Lesen Sie 帰去来 (ききょらい) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.477 Zeichen · 31 Bildschirme
翌る日午後五時に、私たちは上野駅で逢い、地下食堂でごはんを食べた。北さんは、麻の白服を着ていた。私は銘仙の単衣。もっとも、鞄の中には紬の着物と、袴が用意されていた。ビイルを飲みながら北さんは、
「風向きが変りましたよ。」と言った。ちょっと考えて、それから、「実は、兄さんが東京へ来ているんです。」
「なあんだ。それじゃ、この旅行は意味が無い。」私はがっかりした。
「いいえ。くにへ行って兄さんに逢うのが目的じゃない。お母さんに逢えたら、いいんだ。私はそう思いますよ。」
「でも、兄さんの留守に、僕たちが乗り込むのは、なんだか卑怯みたいですが。」
「そんな事は無い。私は、ゆうべ兄さんに逢って、ちょっと言って置いたんです。」
「修治をくにへ連れて行くと言ったのですか?」
「いいえ、そんな事は言えない。言ったら兄さんは、北君そりゃ困るとおっしゃるでしょう。内心はどうあっても、とにかく、そうおっしゃらなければならない立場です。だから私は、ゆうべお逢いしても、なんにも言いませんよ。言ったら、ぶちこわしです。ただね、私は東北のほうにちょっと用事があって、あすの七時の急行で出発するつもりだけど、ついでに津軽のお宅のほうへ立寄らせていただくかも知れませんよ、とだけ言って置いたのです。