Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じょうしき

常識

豊島 与志雄

Lesen Sie 常識 (じょうしき) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.237 Zeichen · 33 Bildschirme

Aozora Bunko

「今からあの娘のパトロンになって、そして芸者につきだそうというのは、坪井君もなかなか利口ですよ。」そういう岡部の言葉を、あなたはどういう根拠で信じたのか、あなた自身にも分ってはいない。岡部はやはり、ほんとに親切な調子で、あなたのことを思って、そう云ったのであろう。それは私にもよく分る。そしてその、坪井君もなかなか利口ですよという平凡な言葉が、私の胸を刺す以上に、あなたの胸を刺したろうこともよく分る。けれども、それは単に言葉にすぎないし、岡部の誤った言葉に過ぎなかった。

「みます」のことも、私にとっては、そんなつまらない事柄ではなかった。七年間の上海でのうらぶれた生活のあとで、東京にまい戻ってきた時、私がふれた一番深い感情は、みますの娘のみよ子のうちにあった。以前東京で遊蕩の生活をしていた時、花柳界のそばのその小料理店みますへ、私は度々出入した。芸者などつれて、昼飯をたべにいったり、夜遅く腹拵えにいったりした。みよ子は小学校にあがったばかりの子供で、私たちは玩具や文房具などを持っていってやった。そのことを私は思い出したのである。もう花柳界に足を入れる興味など更になかったが、へんにみますのことは思い出されて、一寸飲みに行ってみた。