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Japanische Klassiker mit Furigana

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ばくまついしんかいこだん

幕末維新懐古談

高村 光雲

Lesen Sie 幕末維新懐古談 (ばくまついしんかいこだん) von 高村 光雲 (たかむらこううん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.717 Zeichen · 8 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし、荷物の山と人波に遮られ、あがいても、百掻いても人の先へは出られない。気が急けば急くほど身が自由にならないので、これではいけないと、荷物の上へ躍り上がり、箪笥、長持を踏み越え踏み越え、やっと、雷門の脇の大神宮様の脇を潜り抜けて、心ばかりは万年屋指して飛び込んで来ましたが、やはり恐ろしい人波でニッチもサッチも行かないのでした。

私は何時の間にか、雷門の方を向いて人波の中を泳いでいました。泳いでいるといって好いか、揉み抜かれているといって好いか。人間と人間との間の板挟みにされ、両脚は宙に浮いて身体が波の動揺のままにゆさぶられているのです。そのくせ、眼には昼よりも明るい一面の火の幕がハッキリと見え、人の顔と、真黒な頭の頂天のチョン髷とが影絵のように映っている。そうしたままで、また良々暫く揉まれ抜いていると、ふと、百千の人の顔の中から、父兼松の顔を見附けました。ハッと思うと同時に、父の眼顔に、私を見附けたという喜悦の表情の動くのを見ました。父は、口を開いて、何かを叫び、両手を上へ揚げて、一心不乱に私の方へ突進して来ようと焦燥っている有様。私は私で、父を見附けると、ただ、もう、父の方へ、一本槍に進んで行こうと百掻いている。