Japanische Klassiker mit Furigana
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ばくまついしんかいこだん
幕末維新懐古談
高村 光雲
Lesen Sie 幕末維新懐古談 (ばくまついしんかいこだん) von 高村 光雲 (たかむらこううん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.451 Zeichen · 15 Bildschirme
段々爪先上がりの急になって道は嶮しく、左手に谿間があって、それが絶壁になっており、水の落ちる音がザアザアと聞える。
「どうもえらい処ですね。……しかし絵師などには描けそうな処だ」
など話しながら、足は疲労れても、四方の風景の佳いのに気も代って、漸々発光路に着いたのがその日の午後三時過ぎでありました。
家屋といっても家屋らしい家はなく、たった一軒飯屋兼帯の泊まり宿があって、その二階に私たちはひとまず落ち附きました。それから湯に這入り、食事をしましたが、食べるものは何もない。何かあるかというと牛があるというので、この山奥に牛肉は珍しい。それを買って来てくれといって煮てもらって箸をつけたが、とても歯も立たないので驚きました。
さて、それから、材木屋に掛け合うことになって、その男が来ました。名は確か長谷川栄次郎とかいったと覚えていますが、立派に姓名はあっても、逢って見るとまるで山猿同然のような六十四、五の爺さん……材木屋といっても、杣半分の樵夫で、物のいいようも知らないといった塩梅ですから、こういうものを相手にして掛け合って、話が結局旨く運ぶかどうか、甚だ危ぶまれましたが、もう此処まで出掛けて来ているので、話を進めるより道なく、段々右の男に当って見ると、栃の木の佳いのはいくらもある、それらは大概崖に生えているのだが