Japanische Klassiker mit Furigana
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ひらいずみきこう
平泉紀行
村山 俊太郎
Lesen Sie 平泉紀行 (ひらいずみきこう) von 村山 俊太郎 (むらやまとしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.864 Zeichen · 10 Bildschirme
風強ければ、火の用心怠りなく、さらば。
(第一信 新山分校にて)
四
六月一日
朝五時出発。
低くおしよせた雲が雨をまいていった。旅で雨に遇うほど淋しいものはないのに、われわれもとうとうその淋しさに遇わなければならない。
「俺あ雨にあう気できたんだから……行こうや」
和田校長が太い声でこう言ってみんなを元気づけた。
まず新山校に別れを告げて、坂道にかかった。ここの家並みは昔の宿場の面影をとどめた家造りがちらばっている。
うねうねたる笹谷の街道である。村から遠ざかるとみんなはさわぎ出した。山男の井淵君大声で山節を唄った。あるいは、軟かいところで、山は高いし……ひとりとぼとぼ……と、かの感傷的な人間も声を張り上げている。
行け行け男児
日本男児
校長先生が唄った。否唄ったというよりも大声で読んだのである。深い谷まで面白いと見えて、まねて歌を詠んでいる。
峠、坂道七曲がり八折れ
下にホケキョの音がする
これは私がうたったもの。もう雨は落ちてこない。ただ頭の上を雲のみが足早に過ぎ去る。
顧みすれば山形の盆地は青く晴れている。
「おい、この街道、今も人通りが多いかね」