Japanische Klassiker mit Furigana
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としのせのおと
年の瀬の音
山本 周五郎
Lesen Sie 年の瀬の音 (としのせのおと) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.241 Zeichen · 5 Bildschirme
彼は師走の街の切迫したけしきを横眼にながめながら、腕組みをしてゆうゆうと歩いてゆく。そのあゆみは彼が時を刻む音の圏外にいることをごうぜん(傲然)と示すものであり、大みそかなんぞくそくらえという意気のあらわれであった。
子犬はその主人の足にひき添って歩きながら、愛のこもった熱心な眼で主人を見あげ、またちょこちょこと歩き、そして熱心な愛のこもった眼で主人を見あげ、ときたま主人が見おろすと、まるでお互いの愛をたしかめ得たかのようにしっぽを力いっぱい振り、主人はまたゆうぜんと歩いてゆくのであった。血まなこになって活動する師走の街にあって、この紳士がどうしてこのように超然としていることができるか、などということをいおうとは思わない。私はただせんぼう(羨望)のため息をもらしながら、この誇り高き紳士とその愛によってむすばれた子犬とのあとを、かなりながいあいだついていった、ということを告白するだけである。
いま仕事部屋の外で宣伝カーなるものがわめいている。いよいよ押し詰ってまいりました。私はなんのためともなくぞっとし、机の前で身をちぢめる。私は赤児を背負って雨にぬれながらゆく男であり「おばちゃん」