Japanische Klassiker mit Furigana
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まぼろしのその
幻の園
豊島 与志雄
Lesen Sie 幻の園 (まぼろしのその) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.788 Zeichen · 14 Bildschirme
そこはいつも綺麗に片付いていて、床の間には大きな山水の軸がかかり、青銅の花瓶や刀掛などが置いてありました。
「僕はね……。」
云いかけて私は、座敷の真中に立悚みました。祖母から聞いたことをうっかり話すつもりだったのが、誰にも云ってはいけないという言葉を思い出すと一緒に、本当に誰にも云ってはいけないという気がしました。それが私をとても淋しくしました。私はみよ子を引張ってきて、何をするつもりだったんでしょう。お殿様ごっこ……姉弟の誓い……そんなものも頭から消えてしまいました。
私は頭を振りながら室の中を歩きまわりました。
「何をするの。」
みよ子は私の様子を見て、もう笑っていました。
「坐り相撲をとろう。」
「いやよ。」
「なぜ。」
「だって……おかしいわ。」
室の中を見廻すと、屏風がありました。みよ子に手伝わして、屏風を二枚もちだし、それを座敷の真中にまるく立廻しました。
「この中なら大丈夫だ。坐り相撲をとろう。」
みよ子は笑いながら屏風の中にはいって来ました。天井につきぬけてる十二角の塔の中は、全く別天地でした。私とみよ子とは、その中で取組み合って笑いこけました。