Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
まぼろしのかなた
幻の彼方
豊島 与志雄
Lesen Sie 幻の彼方 (まぼろしのかなた) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.763 Zeichen · 84 Bildschirme
何か大きな力でねじ向けられるかのように、首を徐々に振り向けてみると、押入の襖は閉まっていた。下半分がただ白くて、上半分に電燈の笠の影を薄暗く受けていた。
彼は怪しい衝動に駆られた。立ち上って押入へ歩み寄り、骨壷をを」]開いて、中の白いやつを歯でかじった。食塩と灰とを混ぜて噛むような味だった。不気味な戦きが背筋を走った。慌てて室の中を見廻した。誰も居ないのを見定めて骨壷をを」]しまった。
また暫くすると、彼は同じ衝動に駆られた。立ち上って押入へ歩み寄った。総毛立った顔をして眼を見据えているのが、我ながら不気味に意識された。一寸立ち止ると。ぞっと竦んだ。
彼は堪らなくなって室から飛び出した。廊下の曲り角が陰々として薄暗かった。血の気を失った顔で竜子の前に現われた。
それを竜子は待ち受けていた。
ただ母性のみが持ってる大きな抱擁力だった。子供をも大人をも本能的に抱き込む、鳥黐のような粘り気のある力だった。彼はほっと息をついた。
然し間もなく、忌わしい反撥の気がむらむらと彼の心に湧いた。彼は彼女を押しのけて立ち上った。
眼に険を帯び、口元から頬へ皮肉な色を漂わせて、そのどっしりとした身体全体で、彼女は彼方をじろりと見やった。