Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
まぼろしのたて
幻影の盾
Lesen Sie 幻影の盾 (まぼろしのたて) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.372 Zeichen · 45 Bildschirme
時々鏡の面を羅が過ぎ行様まで横から見える。地面は一面の苔で秋に入って稍黄食んだと思われる所もあり、又は薄茶に枯れかかった辺もあるが、人の踏んだ痕がないから、黄は黄なり、薄茶は薄茶のまま、苔と云う昔しの姿を存している。ここかしこに歯朶の茂りが平かな面を破って幽情を添えるばかりだ。鳥も鳴かぬ風も渡らぬ。寂然として太古の昔を至る所に描き出しているが、樹の高からぬのと秋の日の射透すので、さほど静かな割合に怖しい感じが少ない。その秋の日は極めて明かな日である。真上から林を照らす光線が、かの丸い黄な無数の葉を一度に洗って、林の中は存外明るい。葉の向きは固より一様でないから、日を射返す具合も悉く違う。同じ黄ではあるが透明、半透明、濃き、薄き、様々の趣向をそれぞれに凝している。それが乱れ、雑り、重なって苔の上を照らすから、林の中に居るものは琥珀の屏を繞らして間接に太陽の光りを浴びる心地である。ウィリアムは醒めて苦しく、夢に落付くという容子に見える。糸の音が再び落ちつきかけた耳朶に響く。今度は怪しき音の方へ眼をむける。幹をすかして空の見える反対の方角を見ると――西か東か無論わからぬ――爰ばかりは木が重なり合て一畝程は際立つ薄暗さを地に印する中に池がある。