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Japanische Klassiker mit Furigana

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おさなきひ

幼き日

小川 未明

Lesen Sie 幼き日 (おさなきひ) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.784 Zeichen · 8 Bildschirme

Aozora Bunko

「ああ、いいあんばいだ。」と、お母さんは、やっと脊中をたたくのをやめて、ほっとしました。

「どうか、すこしでも長く眠ってくれればいいが……。」と、自分の眠らなかったことや、疲れたことなどは、まったく、忘れて、すやすやと眠っている正ちゃんの顔をながめていました。

このとき、あちらから、らっぱの音が聞こえました。つづいて、パカ、パカという、馬蹄の音が、したのであります。

「あ、兵隊さんが、通るのだな。坊やは、起きなければいいが。」

お母さんは、気をもみました。ちょうど、窓の外の往来を、兵隊の列が通るのであります。平常は、勇ましいらっぱの音も、また、坊やが元気でいて見たなら、さぞ喜ぶであろうお馬のひづめの音も、このときばかりは、にくらしくなりました。

「どうぞ、坊やが、目をさましませぬように……。」と、お母さんは、口のうちで、神さまに念じていました。

とうとう坊やは、目をさまさずに、兵隊の列は通過してしまいました。ほがらかならっぱの音も、なんとなく勇ましい馬のひづめの音も、だんだん小さく遠くなってしまいました。

「やれ、やれ。」と、お母さんは、いって、家のなかをかたづけにかかりました。