Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆうれい
幽霊
江戸川 乱歩
Lesen Sie 幽霊 (ゆうれい) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.972 Zeichen · 24 Bildschirme
近づいて見ると、それは一人の男が、もう大分年寄りらしかったが、向うをむいてじっと蹲っているのだった。その様子は、何か一心不乱に考え込んでいるらしく見えた。
それが、平田氏の跫音に気づいたのか、びっくりした様に、いきなりヒョイとこちらをふり向いた。灰色の背景の中に、蒼白い顔がくっきりと浮き出して見えた。
「アッ」
平田氏はそれを見ると、押しつぶされた様な叫声を発した。そして矢庭に走り出した。五十男の彼が、まるで駈っこをする小学生の様に滅多無性に走った。
ふりむいたのは、もうここでは大丈夫だと安心し切っていた、あの辻堂の顔だったのである。
「危い」
夢中になって走っていた平田氏が、何かに躓いてばったり倒れたのを見ると、一人の青年がかけ寄って来た。
「どうなすったのです。ア、怪我をしましたね」
平田氏は生爪をはがして、うんうん唸っているのだ。青年は袂から取出した新しいハンケチで手際よく傷所に繃帯をすると、極度の恐怖と傷の痛みとで、もう一歩も歩けぬ程弱っている平田氏を、殆ど抱く様にしてその宿へつれ帰った。
自分でも寝込んで了うかと心配したのが、そんなこともなく、平田氏は翌日になると割合元気に起き上ることが出来た。