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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひろばのベンチ

広場のベンチ

豊島 与志雄

Lesen Sie 広場のベンチ (ひろばのベンチ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.998 Zeichen · 15 Bildschirme

Aozora Bunko

口は少し開きかげんで、物言いたげに見えるが、切れの長い眼は全く無心に見開かれてるだけで、何の表情も帯びていず、強いて言えば白痴のそれである。

その顔に、十内はいきなり当面して、言い知れぬ衝動を受けた。人形なのか、人間なのか、人間ならば、生きてるのか、死んでるのか、そういう思いが真先に来たが、次に、なにかぞっと不気味な感じがした。没表情な白痴のような眼が、それなりに澄みきって、黒い瞳の奥底から、恐怖と絶望の毒気みたいなものを放射している。然しそれは十内の独り合点だったかも知れない。

少女はかすかに膝頭を動かし、握り合せてる両手で脇を押えた。その時十内に気付いた。彼女は青服を上半身にまとまってるだけで、折り曲げてる両脚の方は裸だった。誰かに肉体を犯されたのではないか、この少女が。十内は思わず眼を見張った。浅間しさに、その眼を外らしたが、持ってゆきどころがなく、またも彼女の眼とぴたり合った。恐怖と絶望の毒気を吐きつける呆けた眼だ。

なにか強い力で結び合されたかのように、眼と眼をひたと見合せてるうちに、十内は飛び上った。そして次の瞬間の行動は、十内自身でもはっきり説明がつかないものだった。