Japanische Klassiker mit Furigana
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ひろばのベンチ
広場のベンチ
豊島 与志雄
Lesen Sie 広場のベンチ (ひろばのベンチ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.998 Zeichen · 15 Bildschirme
そして今になって、別な顔が見えてきたのである。
別な顔、ではあるが、それがあの青服の少女の顔だと、どうして直ちに分ったのであろうか。自分の方に大きな罪悪があった、そのことが、意識されてきたからであろうか。
局面が違ってきたのである。
十内は先日、朝鮮戦乱のニュース映画を見た。
鉄道線路に沿って、避難民が列をなして歩いていた。皆ぼろぼろの服をつけ、足はたいてい跣で、小さな荷物を提げ、とぼとぼと歩いていた。恐らく、行く先も定かでないであろう。その夜の食事も当がないであろう。
老人があり、子供があり、若い男女も老人か子供のように頼りない姿である。赤児を背負った婆さんもある。そしてそれらの人々が、奇妙に、全く見知らぬ赤の他人の間柄に見える。互に言葉をかけ合うこともなさそうである。ただ黙ってとぼとぼと歩いている。身内の者、親子、兄弟、夫婦など、どこかではぐれ見失って、見知らぬ者ばかりの群れのようである。
言葉も記憶もない家畜の群れのようなその行列が、道路ではなく、鉄道線路に沿って歩いていることが、殊に佗びしく悲しい。一本の鉄道線路、それは無限に先へ先へと延びてる感じである。