Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ひろば

広場

宮本 百合子

Lesen Sie 広場 (ひろば) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.809 Zeichen · 31 Bildschirme

Aozora Bunko

朝子には心がどこかへかたまっている人間の上の空のおとなしさ、優しさがあって、素子は本当に言葉通りの気遣いで云った。

「ふらふら歩いてバスに轢かれたりしちゃいやだよ」

「だいじょうぶよ」

朝子は笑って答えるが、その笑顔は何か帰って来るまで素子の眼の底にのこるようなものをもっているのであった。

誰にも邪魔されずにこの大きい都会の二つの並木路や河岸や林の間を歩きながら、朝子はこの三年のうちに成長した自分というものをそれ以前の生活に迄さかのぼって隅から隅までしらべ直しているのであった。ここに止って生活する可能が示されたそのところに立って、自分の四隅を見わたしていた。自分がここに受け入れられるよろこびは朝子を真心から震盪するのであり、それだからこそ、真にそれにふさわしい自分かどうか、自分が作家として自分に納得出来るような業績をもち得るかどうか、そのことについて朝子は執拗に自分をしらべるのであった。朝子は客として、何かのサンプルのようにして、この愛する都の生活に寄食するには、あまりにもここの本当の姿を知っていすぎるし、自分の仕事を愛してもいるのだった。

或る晩、朝子は灯を消してからも永いこと眠らず、考えに耽っていた。