Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうどうちゅうそでん
弓道中祖伝
国枝 史郎
Lesen Sie 弓道中祖伝 (きゅうどうちゅうそでん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.647 Zeichen · 19 Bildschirme
若い武士は唖然としたようであった。
時は文明五年であり、応仁の大乱が始まって以来、七年を経た時であり、京都の町々は兵火にかかり、その大半は烏有に帰し、残った家々も大破し、没落し、旅舎というようなものもなく、有ってもみすぼらしいものであった。若武士が京の町へ足を入れたのは、たった今しがたのことであり、時刻はすでに夕暮であり、事実さっきからよい宿はないかと、それとなく探していたところであった。で、老人に呼び止められ、今のように宿を世話されたことは、有難いことには相違なかったが、それにしても老人の世話のしかたが、あまりにも唐突であったので、そこで唖然としたのであった。唖然としたが、それがために、老人の好意を無にしたり、老人の言葉を疑うような、そんな卑屈な量見を、その若武士は持っていないと見えて、云われたままの道を辿り、云われたままの館の前に立った。
さてここは館の前である。
もうこの時は初夜であって、遅い月はまだ出ていなかった。
で、細かい館の様子は、ほとんど見ることが出来なかったが、桧皮葺の門は傾き、門内に植えられた樹木の枝葉が、森のように繁っていた。