Japanische Klassiker mit Furigana
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かげおとこ
影男
江戸川 乱歩
Lesen Sie 影男 (かげおとこ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.133 Zeichen · 310 Bildschirme
かれはのそのそと二つの首に近づいてきた。見ると、手に妙なものを持っている。大きな鎌だ。もう一つは大きな草刈りばさみだ。鎌は普通の倍もあるような巨大なもので、そのとぎすました半月形の刃が、やみの中でも白く光っている。草刈りばさみのほうも、それに劣らぬ大きさで、長い木の柄がつき、二つに割れたはさみの先が、二本の出刃包丁のように光っている。
こいつは気ちがいだ。妻の不義に目がくらんで、気がちがったのだ。あの鎌とはさみで、地上にはえた二つの首を、草でも刈るように、ちょん切るつもりかもしれない。
しかし、すぐには切らなかった。あまり早くやってはもったいないという様子で、二つの光る道具を見せびらかしながら、首と首との中間にうずくまった。
「ウフフフフ」
気味のわるい笑い声が、ヘビのように地面をはっていった。
「これを見たかね」
そういって、二つの首切り道具をガチャガチャといわせた。三本の青白い刃が草の上にきらめいた。
「だが、まだ殺さない。おれの恨みは、もっと深いのだ。きさまたち、ここへうずめられるときには、気を失っていた。ゆうべ女中が持ってきたコーヒーに、おれがそっと眠り薬を入れておいたからだ。