Japanische Klassiker mit Furigana
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かげおとこ
影男
江戸川 乱歩
Lesen Sie 影男 (かげおとこ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.133 Zeichen · 310 Bildschirme
奥さんは好きな男にやってしまいなさい。あんたの金力なら、かわりの女は思うままじゃありませんか。では、しばらく待っていてください。なわをかけさせてもらいますよ。絹糸だけでは、逃げられる心配がありますからね」
影男はどこからか一本の細引きを取り出して、良斎を厳重に木の幹にしばりつけ、両手も動かないようにしてしまった。そして、すばやくやみの中へ消えていったが、しばらくすると、いろいろな物をかかえてもどってきた。埋められているふたりの衣類、シャベル、それからポケットに小切手帳と実印と万年筆。衣類とシャベルを地上に置くと、良斎のなわを少しゆるめて、両手を自由にしてやったうえで、懐中電灯を照らしながら、小切手帳と万年筆を突きつけた。
「ぼくが代筆をしてもいいが、やっぱり、あんた自身で書くほうが安心でしょう。洗いざらいもらおうとはいいません。あんたの財産のほんの何十分の一でいいのですよ。今、金庫の中の当座預金通帳を見てきたが、五百万円あまり残ってますね。そのうちの二百万円でよろしい。このふたりに百万円、ぼくに百万円です。安いものでしょう」
良斎は小切手帳を手に取ろうともせず、だまっている。