Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かげおとこ

影男

江戸川 乱歩

Lesen Sie 影男 (かげおとこ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.133 Zeichen · 310 Bildschirme

Aozora Bunko

この世の果て

かどを一つ、二つ、三つ、四つ、ふたりは執念ぶかく鏡から離れなかった。そして、手の届くかぎりの鏡の面を押し試みた。隠し戸はないかと、たたき、けり、からだごとぶっつかってみた。

「アッ、ここだッ!」

影男がとんきょうなこえをたてた。鏡板の一部がぐらっとゆれて、そこにぽっかりと黒い口がひらいた。ふたりは手をつないで、その中へまろび入った。すると、鏡の隠し戸は、またもとのように、ぴたっと閉ざされてしまった。だれも追ってくるものはなかった。ふたりはやっと別世界にはいることができたのだ。そこにはもう、女どもの悲鳴も、警官の怒号も聞こえなかった。それは死の国であった。

この世の果て

明智小五郎は、中村警部やその部下とともに、地底世界の入り口に近いいわゆる事務室にもどっていた。

そこには、この世界の持ち主のちょびひげ紳士と、八人の男が、手足をしばられてうずくまり、それをふたりの警官が監視していた。

「地底王国のご主人、ふたりの犯人は、もう一つのパノラマ国へ逃げこんだ。あの鏡の壁に、隠し戸があったのだね」

明智がちょびひげの前に行って尋ねると、かれはうしろ手にしばられた上半身をおこして、恨めしそうな顔でこちらを見上げた。