Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
かげおとこ
影男
江戸川 乱歩
Lesen Sie 影男 (かげおとこ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.133 Zeichen · 310 Bildschirme
ここでは、かれは大阪の貿易商社の若い社長鮎沢賢一郎であった。ゆうべおそく大阪から着くと、かれのへやときまっている二間つづきの一室にはいったが、ぐっすり朝ねぼうをして、翌日の昼ごろ起き出して、ゆっくりバスにはいってから、気に入りのボーイに軽い朝食を自室へ持ってこさせ、それを平らげると、あらかじめ呼んでおいたひとりの客を引見した。かれはここでは、呼びよせた客以外には、だれにも会わないことにしていた。
それは二十三、四歳のはでな洋装の美しい女であった。自室の居間のほうに通して、まず長い接吻をしてから、長イスにからだをくっつけて腰かけた。
「上流婦人の秘密結社があるのよ。あなたの趣味にぴったりだし、十万円ぐらいのごほうびの値うちありそうよ」
女の鼻はかわいらしくツンと上向いていた。笑うと左のほおに片えくぼができた。目が愛らしかった。シガレットを気どった手つきでふかしていた。
「詳しく話してごらん」
影男の鮎沢は、女のえくぼを見ながら、微笑してたずねた。
「首領――といっちゃおかしいけれど、その婦人団の団長みたいな人ね、それはもと侯爵夫人で、たいそうお金持ちなの。