Japanische Klassiker mit Furigana
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おうまじるしはいしゃく
御馬印拝借
山本 周五郎
Lesen Sie 御馬印拝借 (おうまじるしはいしゃく) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.483 Zeichen · 43 Bildschirme
緑までが、今はじめて見るもののように、びっくりするほど新鮮にみえだすのだった。するとふいに、……信夫どのという人の呼ごえが聞えた、「信夫どのこちらです……」声は裏木戸のほうだった、ふり返ってみると、木戸を開けてつかつかとひとりの若者がはいって来る、甲冑を着けているのでちょっとわからなかったが、近づくにしたがって河津虎之助だということがわかった。虎之助もおなじ榊原康政の家来で、父親同志が親しかったから、この家へもかなりしばしば往来していた。「いよいよ出陣です……」かれは昂奮した調子でそう云いながらあゆみ寄った、「甲斐と手切れになったのです、先手組に加わって掛川へゆきますが、なにか非常な持場へつくようですから生還はのぞめません、こんどこそみごとに討死とかくごをきめています」そこまで聞いて信夫は胸をつかれた、源七郎はなにも云わなかった、そんなことはひと言も口にしなかった、本当だろうか、われ知らず心がよろめいたとき、虎之助のせきこんだ言葉が耳へつき刺さった、「……約束して下さい、万一にも生きて帰ったら、そのときは虎之助の妻になると、もちろん生きて帰る