Japanische Klassiker mit Furigana
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ふっかつさい
復活祭
久生 十蘭
Lesen Sie 復活祭 (ふっかつさい) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.018 Zeichen · 23 Bildschirme
三
「飯ならミイもいっしょに」
「いや失敬しよう。ユウのサブ・スタッフ(涙物語)を聞いたってしようがないんだから」
川田はニベもない口調ではねつけた。小原の顔がみるみる額ぎわまで真赤になった。
「ユウはそれをミイにいうのか」
川田はとぼけた笑顔で、
「誰にいうもんか、小原東城にいってるんだ。それがどうした」
いぜんのような白々とした顔になると、小原は苦笑しながら、
「それもそうだ。じゃツルさん」
と鶴代のほうへちょっとうなずいてみせ、舞踏室を通ってタンデム・キャビンにつづく桟敷の階段をゆっくりあがって行った。
三
遊びほうけたあとの憂鬱が身体にしみとおり、わけもなく飲みつづけたコクテールやジンフィーズの酔いで手足がしびれ、ときどきふっと夢心地になる。
空は無色になって、夜が明けかけてきたが、人気のない広い構内はまだ真暗で、海風で湿った岸壁が舷窓からあふれだすあかりを受けてところどころで光っていた。
鶴代はフラフラしながらB甲板のほうへ上って行った。非現実のすがたのまま、この長い間、心の中に持ちつづけていた男性のイメージは、けっきょく小原のそれだったことがわかった。