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Japanische Klassiker mit Furigana

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ふくしゅう

復讐

豊島 与志雄

Lesen Sie 復讐 (ふくしゅう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.806 Zeichen · 20 Bildschirme

Aozora Bunko

「遅いですねえ。いらっしゃらないから、もう寝ようかと思ってたところですよ。」

私は返事をしなかった。先刻から、もう口を利くまいと決してるのを、いや、口を利いてはいけないことになったのを、その時感じた。私は唖になったのだ。

のっそり上りこんで、長火鉢の前に坐った。炭火が少しあるのをほじくった。お多賀さんがお茶をいれようとするのを、手で制して、酒を飲む真似をした。

「お燗をしますか。」

私は頭を振った。

「大丈夫ですよ。姐さんは、酔って、眠ってますよ。」

囁いてるその声が、私の耳にはへんに大きく響く。

「起してきましょうか。」

私は頭を振り、コップの冷酒を飲んだ。何をお多賀さんは感違いしてるのだろう。照代の眠ってるところを見るのではなかったかしら。私は思い返してみた。そうだ、確かにそうだったんだ。

二杯目のコップを干して、私は立ち上った。何度か立ち寄ったことがあるので、家の様子は分っている。照代の居間の方を指差した。お多賀さんは眼で笑った。

「いたずらなすってはいけませんよ。」

縁起棚の金具類の光りが眼に残り、二階への階段は洞穴のようだった。一足一足、跛をひくようにして昇ってゆくと、長い洞穴の上に、ぼーっと明りがさしていた。