Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こころのかわ

心の河

宮本 百合子

Lesen Sie 心の河 (こころのかわ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.442 Zeichen · 37 Bildschirme

Aozora Bunko

まだ――」

「そうか知ら。――私は逆のように感じてよ。貴方は、私共が世間で認める通り夫婦で、外から見た条件がちゃんと調っているのだけ知って安心していらっしゃるのじゃあないこと? 自分達の心の問題を放ぽり出して、他人のように外側だけ見て好い気になっているのは嫌よ。――私は根から安心したいのです。貴方と私とが、本当にこここそというところを確り持ち合って行きたいの」

「――いやに懐疑的だね」

保夫は、手入れの好い髭の辺に、不似合な曖昧な迷惑げな表情を泛べて、さよを見た。

「こうやって生活しているという事実以外に、僕等の生活のあるべき訳がないじゃないか。それに……君の言葉は捕えどこがまるでない。遠いとか寂しいとか云わずに、どこか悪いところがあるなら明瞭に指摘すべきだ。それが君に出来ないなら、僕は、君の云うことに、はっきりした土台がないとしか思えないよ」

「悪いというものではないのです。なおすというより、もっと心の底に入るの。もっとむき出しで、鋭く感じる心が私は欲しいの。私に遠慮なく云わせれば、私のこの心持を論理の上で正しい形をとって説明させようとなさる、それが淋しいのです。