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Japanische Klassiker mit Furigana

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「しんりしけん」じょ

心理試験

小酒井 不木

Lesen Sie 心理試験 (「しんりしけん」じょ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 96.338 Zeichen · 197 Bildschirme

Aozora Bunko

二人は逢った。その時、彼女はマッフの中に怖ろしい毒薬の瓶をたずさえていた。彼女はいよいよ出発するに当って首途を祝うために祝盃をあげようではないかと言い出し、自ら立って戸棚から一個の盃と白葡萄酒の瓶を持って来た。グレージーが葡萄酒の栓を抜いたとき、

「まあ、わたしとしたことが、たった一つしか盃を持って来ないなんて。ねえ、あなた、ちょいと、もう一つ取って来て下さい」

と、彼女は平気を装って言った。

グレージーが盃を取りに行くと、その間に彼女は手早く毒薬の瓶から盃の中へ毒液を滴らした。そうして、グレージーが戻ったとき、彼女はその盃へ黄色の葡萄酒をなみなみと注いだ。

「さあ、これをお上りなさい」と彼女はやさしく言った。

グレージーは嬉しがり、「有難う、それじぁ、二人でこの盃を飲もうよ。恋の酒だもの」こういって、彼はその眼に恋の焔を漲らせながら先ず盃を彼女の口もとに持って行った。

彼女はぎょっとした。

「いけないいけない」と彼女は思わず叫んだ。

「わたしは別の盃でのむのよ。注いで頂戴」と声ふるわせて言った。

「何故?」と、グレージーの眼には始めて疑惑の色が浮んだ。

「わたしがあなたの盃についであげたのだから、あなたはわたしの盃につぐのよ」