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Japanische Klassiker mit Furigana

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「しんりしけん」じょ

心理試験

小酒井 不木

Lesen Sie 心理試験 (「しんりしけん」じょ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 96.338 Zeichen · 197 Bildschirme

Aozora Bunko

と、患者は憤慨して、右手でナイフを握るなり、あッと言う間に、左の前腕を切り捨てたのである。

看護人は驚いて急を鬼頭博士に告げた。

博士はとりあえず繃帯を施し、静かに患者に向って言った。

「君はどうしても虹になりたいのか」

「はい」

博士は切り捨られた腕を拾い上げて行った。

「君のこの腕を虹にしてやるが、それで我慢出来ぬか」

「それなら、我慢します」

博士は直ちに助手に囁いた。すると、間もなく助手はブンゼン燈や鍋や薬品などを持って来た。

鬼頭博士は鍋の中へ腕を入れ、薬品と共に煮た。その頃、もはや東の空の虹は消えていた。

暫らくすると鍋の中に、粘稠な塊が出来かかった。患者は熱心にそれを見つめて、いつ自分の腕が虹になるであろうかと不思議がっているらしかった。

やがて博士は、その粘稠な塊を皿の上にのせ、それを水にとかした。そうして、竹の管の先にその溶液をつけるなり、管の一方を口に当てて静かに吹いた。

球が拡がると、美しい虹が管の先にあらわれた。

「有難う御座います」

こういって患者は泣き出した。彼はそれほど満足したのである。

いう迄もなく、博士は、患者の腕を煮て石鹸を作ったのである。