Japanische Klassiker mit Furigana
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ひつよういじょうのもの
必要以上のもの
豊島 与志雄
Lesen Sie 必要以上のもの (ひつよういじょうのもの) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.415 Zeichen · 11 Bildschirme
そして読後へんな気がしたのは、信念にまで高まった情熱の前には、如何に人の命が安価であるかということ、云いかえれば、或る場合には生命などは問題でなくなるほどに、情熱が信念にまで高まるということである。勿論ここでは大自然の中に於てであるが、その或る場合は、吾々の日常生活の中まで延長出来ると思われる。そしてこの或る場合というのは、いつも、情熱それ自体がそうである如く、必要以外のものなのである。時としては、常識的には至って下らないものなのである。
必要というのは、茲では、喉の渇いてる者にとっての水、腹のすいてる者にとってのパン、性欲に飢えてる者にとっての異性の肉体、無一文な者にとっての金銭、そういうものを謂う。ところで、吾々にとって、必要なものは単に必要であるだけであって、それ以外の何物でもない。吾々がほんとに欲しいものは、別にある。「今何が一番欲しいか。」と尋ねられたら、大抵の場合――凡ての場合と云えないほど吾々は必要なものに不自由してるのを悲しむのであるが――大抵の場合、直接に必要でないもの、而も多くはつまらないものなのである。
例えば私の経験から云えば、最大級に最も欲しかったものは、或る時は、不吉な因縁話のからんでいる小式部人形だったし、或る時は、四五尺の大きさの梟の剥製だったし、或る時は、幽霊が出ると云う