Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いかりのむし

怒りの虫

豊島 与志雄

Lesen Sie 怒りの虫 (いかりのむし) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.457 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

「あなたにとって、不愉快な話だってことはわかっております。けれど、愛情がおありでしたら、心配して下すってもよろしいと思いますわ。」

「そりゃあ、心配していますよ。然し、いくら心配しても、どうにもならないし……。」

「成り行きに任せると仰言いますの。」

「いや、なんとか打開しなければなりませんがね……。」

「あなたのお気持ちを、今日は、はっきり聞かせて頂けませんか。」

「それは、前から言ってる通りですよ。」

陰欝な気分が次第に苛ら立ってくるのを、木山はむりに抑えた。そして酒を飲んだ。由美子も口を噤んで、猪口を手にした。

もともと、ちょっとした火遊びみたいな軽い気持だったのが、次第に深みへはまり込んだのである。肉体の関係がついたのがいけなかった、青年同志のようにぱっと燃え立つのでもなく、老人同志のように心底から寄り添うのでもなく、ただじりじりと互に喰い込んでいった。そこへ、別居していた塚本が、愛人と別れ、自家へ帰って来るという事態が持ち上った。素人のくせに手を出した漁業に大失敗をして、危く倒産は免れたが、家産の大整理をしなければならなくなったものらしい。帰って来れば、自然、由美子と同棲することになる。