Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いかりのむし

怒りの虫

豊島 与志雄

Lesen Sie 怒りの虫 (いかりのむし) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.457 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

こんな肉体はもうたくさんだ。≫

木山が呼鈴を押すのを見て、由美子は心配げに眉根を寄せた。

「またお酒でしょう。もうこれぐらいになすったら。お身体がわるいとか仰言ってたじゃありませんか。」

「なあに、大丈夫ですよ。日本酒だけなら、いくら飲んだって……。」

≪お前が要求するのは、酒、酒、ただ酒だけなのか。≫

「それでは、ほんとに愛情を育てていって下さるおつもりですね。」

「そうです。いま言った通りです。」

「それでも、わたしが塚本と同じ家に住むとなると、やはりおいやでしょう。」

「そりゃあいやですね。」

「では、どうすればよろしいの。」

「あなたの決心次第です。」

「わたしの決心はもうきまっていますの。あなたさえ許して下されば、家を出てゆきます。」

「家を出て、どこへ行くんです。」

「どこでも、あなたのおよろしいところへ。」

「よろしいところって、そう急には見つかりませんよ。」

「しばらくの間なら、宿屋住居だって、ホテル住居だって、構いませんわ。それぐらいのお金は、わたし持っていますから。」

「然し、その先が問題ですよ。」

由美子はきっとなって、木山を見つめた。

「木山さん、わたしの眼をじっと見つめて下さい。